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「 エコバッグ今昔 」

以前、エコバッグの魅力について語ったが、

エコバッグの誕生には、いろいろな時代背景が関係しており、

ファッション性だけでない歴史があった。

今はあたりまえのように存在しているエコバッグだが、

日本においての歴史のはじまりは、

1990年代初頭の「マイバッグ運動」という説がある。

買ったものは、自分のカゴに入れて持ち帰る、

レジ袋もエコバッグもない時代の日本。

そこから、高度経済成長が進むにつれて、

今のようなレジ袋が急速に普及した。

しかし、オイルショックを経て、

資源のムダ遣いやゴミ問題を訴える声が次第に強くなり、

レジ袋や過剰包装を見直す風潮になる。

そんな頃、日本のとある小売店が、

ドイツで普及していた布製エコバッグからインスパイアした、

「エコバッグ」と呼ばれるものを初めて発売した。

続いて大手スーパーなど量販店がエコバッグの販売を開始。

それが、冒頭でも話した「マイバッグ運動」である。

そこから、以前ブログで語った内容に繋がるのだが、

そんなエコバッグの代表格に、

布製で持ち手のついた「トートバッグ」がある。

「トートバッグ」といえば

あれだ

そう、あの80年代に大流行した

L・L・ビーン。



片岡義雄の影響で、通販でアメリカへ直オーダーしたり

アメリカ留学(遊学?)する友人に頼んだりしたアレだ

日本でも、アイビーブームの定番アイテムとして大人気。

もともとはバックと言うよりも道具だった

電気冷蔵庫のなかった時代、

食品の低温保存目的に大きな氷を使っていた。

そのために、重い氷塊を持ち運べる、強靭なバッグが必要だった。

史上初の本格的なトートバッグは、

1944年に発売されたL・L・ビーン(アメリカアウトドア・ブランド)の

「ボート・アンド・トート・バッグ」(現在も販売中)

生地はジーンズの2倍の重さのあるものを採用したため

外気を遮断し氷が融けにくく、

融けた水もこぼれにくい。



「トート(tote)」の語源も諸説あるが

中央アフリカのコンゴ語で「tota(持ち上げる)」、

東アフリカのスワヒリ語で「tuta(運ぶ)」、という説が濃い。

『エコバッグ』なる呼び名が広がるのは、

アメリカの最大手ウォルマートの『ロハス』キャンペーンと

ゴア副大統領(当時)による当時の「エコ」運動だろう。

これらの環境に対する”エコ”課題の投げかけがきっかけではあったが、

歴史の根底には、人々が便利になるために生み出された、

”デザインバッグ”なのだと言いたいのである。

ちなみに、日本のエコバッグが影響を受けたと上述した

ドイツのエコバッグ事情だが、

日本でおしゃれなバッグが爆発的に普及したのに対し、

ドイツでは、エコバッグ=おしゃれなイメージはなく、

紙袋など様々な携帯用バッグを繰り返し使うなど、

本来の「エコ」に沿った使われ方をしているようだ。

各国でエコバッグがどのような使われ方をしているのか、

大変興味深い。



https://ja.wikipedia.org/wiki/ウォルマート
https://en.wikipedia.org/wiki/Walmart

https://ja.wikipedia.org/wiki/アル・ゴア
https://en.wikipedia.org/wiki/Al_Gore

https://ja.wikipedia.org/wiki/L・L・ビーン
https://en.wikipedia.org/wiki/L.L.Bean

https://ja.wikipedia.org/wiki/トートバッグ
https://en.wikipedia.org/wiki/Tote_bag

https://ja.wikipedia.org/wiki/片岡義男

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