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花や木々や野鳥や虫たちも(庭ガーデン3)

20年以上前になりますが、

鳥取県米子市の800年以上続く山陰に現存する

最古の庭園に寄ったことがあります。

後醍醐天皇が隠岐の島に配流の際に立ち寄ったといういわれを持ち、

「鶴亀配置」と呼ばれる形式の庭園が今もそのまま残っている

国指定名勝でした。

この「鶴亀配置」形式の庭園が今も、ほぼそのまま残っているのは

大変珍しく、全国でもここと京都の西芳寺(苔寺)の2つだけです。

古くから日本人に親しまれている書院造に

「池泉式」の様式を取り入れた美しい小さな小さな庭園でした。

自然を模写して造られた庭で、山があり、川があり、池があり、

池には島を築いて繁栄を祈る「神仙島」を表現した

不老不死や、長寿への願いが込められています。

訪れた時期が良かったのか、

その小さな庭は咲き乱れる様々な花たちの形と色で、

華やかで生き生きしていました。

ところが、800年以上前、

この庭園が作られた時は、書院造の「池泉式」の庭園として、

後の山を背にし、滝を表す石と水を蓄えた

永遠を表現する「鶴」の石と「亀」の石を置いただけの

まさに石庭と言いたくなうようなシンプルなものだったそうです

庭に込めた想いから手を入れることを禁じ、

草花を植えたことはなく自然のままにされてきたそうです

ところが、雨や風、そして鳥をはじめとして、

植物や昆虫など、さまざまな生きものの関わり合が始まります、

木の実と鳥の関係、鳥と昆虫の関係、昆虫と花、花と鳥の関係、

それらの関係が、気の遠くなるような時間の中で、

様々な営みを作り、繰り返し、咲き誇る楽園を生み出したのです。

まさに、神羅万象。

一つの小さな種

一つの小さな花

一つの小さな苗が

宇宙を作ることになるということです。

https://ja.wikipedia.org/wiki/書院造
https://en.wikipedia.org/wiki/Shoin-zukuri

https://ja.wikipedia.org/wiki/回遊式庭園

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