この素敵なディレクターチェア
MK99200 Folding Chairの話の前に、
北欧のスカンディナヴィアデザインについて少し。
始まりは1888年デンマーク
一人の赤ん坊コーア・クリント(Kaare Klint)が生まれます。
彼は1924年にデンマーク王立大学の建築学部に
家具コースが新設される時、初代責任者に任命され、
『人間工学』を早くから研究し、ほぼその理論を確立させます。
『人間工学』というと難しそうですが、
私たちが”民藝”でよく耳にする「用の美」と同じと思えばわかりやすいはず
デザイン優先ではなく、
あくまでもそのものの機能というか、
使い方から生まれる形デザインということでしょう。
一つの功績が、
”リ・デザイン”の考えを普及させたことです
『リ・デザイン』に力を入れていたことは、
デザインの歴史の中で大変重要なことで、
1933年にデザインしたサファリチェアが代表的な仕事になります。
イギリス軍が考案したコロニアルチェアを”リ・デザイン”したものです。
また、コーアクリントは多くのデザイナーに影響を与えており、
デンマーク家具の礎を築いたと言っても間違いてはありません。
1947年、ボーエ・モーエンセン(Borge Mogensen)は、
アメリカのシェーカーチェアをヒントにJ-39をデザインし
1960年、スウェーデンのアルネ・ノレル(Arne Norell)は、
シロッコサファリチェアをデザイン、
1965年、ハンス・J・ウェグナー(Hans J Wegner)は
明の椅子・クワンイを”リ・デザイン”して
チャイニーズチェアやザチェア、Yチェアを生み出します。
そして、そして
コーア・クリントのサファリチェアと”リ・デザイン”の思想がヒントになって生まれたのが
そう、モーエンス・コッホのフォールディングチェアです
教会に使用するエキストラ椅子のデザインコンペに出展するために、
伝統的な折りたたみ式の椅子を”リ・デザイン”し、完成させました。
当時は斬新なデザインとしか認識されず生産には至りませんでしたが、
1960年代に入るとこの椅子にデザイン関係者が注目し話題を集めたことで本格的な生産が開始。
持ち運びが容易で、しかもダイニング、ラウンジで美しく使用できる。
このデザインの大きな特徴は、腰を下ろすと自動的に優れた安定性と座り心地を作りだすそのユニークな構造でしょう。
真鍮のリングを使用したシンプルなメカニズムにより、簡単にそしてスムーズに折りたたむことが可能。
伝統的なディレクターズチェアを讃えたモーエンス・コッホのフォールディングチェアは
1932年に発表され、長年に渡り多くの人々を魅了してきた。
現在のディレクターチェアやキャンプに使われる折りたためのチェアは、
もっと、ストレートに言えば、
フォールディングチェアはコーア・クリントの『リ・デザイン』と言えるでしょう。
https://en.wikipedia.org/wiki/Mogens_Koch
https://en.wikipedia.org/wiki/Kaare_Klint
No intention, No design
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